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'72年のレーベル立ち上げコンサート、Jazz At The Santa Monica Civic '72 以来、Pablo レーベル専属になったベイシー。Oscar Peterson (p)、Zoot Sims (ts) etc... との競演や自身のトリオ名義の録音はあったものの、肝心のビッグバンド録音は'75年録音の Basie Big Band まで1枚もありません。当時のファンはさぞかしヤキモキしたのだろうと想像できますが、そんな時期にもライブ活動は相変わらず精力的に行われており、Joe Turner (vo) や Joe Williams (vo) が参加したり、ビッグバンド編成の合間に Kansas City 7 風のスモールコンボを交えてみたり、試行錯誤が行われていたようです。この映像はそんな時期、'74年にベイシーが Oscar Peterson (p) らとともにチェコスロヴァキアのプラハで行われたジャズフェスティバルに出演した模様をとらえたもの。 Oscar Peterson との競演は市販された作品としてはおそらく初の貴重な映像!しかもこの演奏のおよそ1ヶ月後に Basie-Peterson の競演盤第1作、Satch And Josh が吹き込まれることを考えると非常に貴重な映像といえるでしょう。基本的には雄弁な Oscar Peterson のピアノの合間をベイシーのピアノが少ない音数で切り込む構図ですが、ときに立場が逆転したり、二人の微妙な駆け引きが見て取れて楽しいです。 ベイシーのステージはジャケットのパーソネルも曲目もメチャクチャ! 1曲目、Fun Time は Basie Power の間違い。なんと Eddie 'Lockjaw' Davis ⇒ Jimmy Forrest という、ベイシーバンド史上一・二を争う個性派テナーのリレーが聴けます!これに関してはうれしい間違い!?古株の Eric Dixon はどこへ行ったんでしょう?2曲目、Why Not ? は Mr. Softy の間違い。On The Road の There Will Never Be Another You で胸のすくような快演を聴かせた Pete Minger をフィーチャーしておりこれまた貴重な映像。3曲目は Bag Of Dreams と並んで Jimmy Forrest のショーケースとして定番の1曲。いつものことながらアツいテナーソロに聴き入ってしまいます。4曲目は Al Grey のフィーチャー曲、I Needs To Be Bee'd With。5曲目は'50年代はベイシーのピアノソロをフィーチャーしていた Cherry Point。ここでは Cartis Peagler (as) がフィーチャーされています。Joe Turner (vo) を交えて選抜メンバーによるコンボ演奏の6曲目は歌詞から Flip Flop And Fly に収録されていた Hide And Seek と思われます。全体的にバンドの斜め後ろからのショットが多く、イマイチテンションがあがりませんが、初映像化なので文句は言えないところですね。 当時チェコスロヴァキアは共産主義国で、この6年前には「プラハの春(チェコ事件)」が起き、東西冷戦の最前線といってもいいロケーションながら、アメリカのビッグバンドが演奏する環境があったのは非常に興味深いです。 ※ジャケットにある 1974/11/8 は Count Basie A Bio-Discography (Chris Sheridan 著) によると travel day とあり、プラハでの公演は 10/26 とされています。ここでの収録日の表記もそれに依拠しています。 |