& Nassau 1969 |
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Sammy Nestico という優れたアレンジャーを得て新境地を開拓しつつあった'60年代末〜'70年代初頭は、同時に1951年のバンド再結成から20年近くに渡って音楽監督を務めたリードアルト Marshal Royal の退団という一大画期でもありました。ライブ活動はそれまでと同様に行われていたはずですが、どういうわけか'69年あたりから'71年くらいまでのライブ音源は他の時代に比べ極端に少ないのが現状です。本作はそんな時代の貴重なライブを収録しています。 前半はベイシー楽団と Ella Fitzgerald (vo) とのオランダでの共演。バラードなど、曲によっては当時のエラのバックを務めていたTommy Flanagan (p) のトリオに切り替わります。1曲目の St. Louis Blues はスローでネットリと演奏されることが多いのですが意表を突いてアップテンポ!その他演奏されるのはエラの十八番ばかりですが、Manteca など、日頃とかなり毛色の違う曲をやらせてもバッチリ決まるのは、ベイシー楽団のメンバーの技術の高さと、なによりバンドとエラの相性が抜群にいいことの表れでしょう。最後にジャムセッション的に演奏される C-Jam Blues はベイシーのお決まりのイントロでなぜか安心してしまいますね。Al Grey (tb) のソロが終わったあたりでフェイドアウトしてしまいますが、この曲こそフルバージョンで収めてほしかったなー。ちなみに'79年のモントルージャズフェスティバルでも両者は共演しており(A Perfect Match)、そこでは Basella という題で C-Jam Blues が演奏されています。 後半は'69年、バハマ諸島のナッソーにおけるベイシー楽団単独のステージ。定番のナンバーが並んでいるせいか、バンドもすごくリラックスしていて、まるでぬるま湯につかっているような気持ち良さ!Marshal Royal (as) がリードするサックスセクションも'60年代中頃から不動のメンバーなだけに息はバッチリです。Li'l Darlin' のいつもより若干スローの絶妙なテンポはまさにため息モノ。。。マイルス・デイヴィスのミュートトランペットでの演奏が有名な Bye Bye Black Bird は Eddie Lockjaw Davis (ts) をフィーチャーしたアップテンポナンバー!カッコイイ!!ベイシー楽団のくつろいだ演奏を聴くには最適の一枚! |