Standing Ovation


1. Down For Double
2. Li'l Darlin'
3. Broadway
4. Jive At Five
5. Cherry Point
6. Jumpin' At The Woodside
7. One O'clock Jump
8. Shiny Stocking
9. Blue And Sentimental
10. Every Tub
11. Corner Pocket
12. The Kid From Red Bank
13. One O'clock Jump

Personnel : Count Basie (p), Freddie Green (gt), Norman Keenan (b), Harold Jones (dr), Gene Coe, Oscar Brasher, Sonny Cohn, Al Aarons, Harry 'Sweets' Edison (tp), Grover Mitchell, Richard Boone, Frank Hooks (tb), Bill Hughes (btb), Marshal Royal (as,cl), Bobby Plater (as,fl), Eric Dixon (ts,fl), Eddie 'Lockjaw' Davis (ts), Charlie Fowlkes (bs)

Location & Date : Blue Room, The Tropicana Hotel, Las Vegas, Jan 28-30, 1969

スヴェガスでのベイシー楽団のライブといえば Frank Sinatra (vo), Quincy Jones (cond) との豪華共演を収めた Sinatra At The Sands や、その同じステージでのベイシー楽団単独の演奏を収めた Live At The Sands が真っ先に思い浮かびますが、このアルバムは Sinatra との夢の共演から3年後、トロピカーナホテルでのライブ録音。

 時期的には、歴史的名盤 Basie-Straight Ahead の録音からそれほど時間が経っておらず、この時期は他のアルバムを見る限り ‘50〜60年代の定番曲+Sammy Nestico の新曲というセットリストが定番だったようです。しかし、このアルバムではオールドベイシー期に録音された曲が、なんと13曲中8曲!! 思わずセルフカバー集の名盤、Count Basie Story を想像してしまいますが、Count Basie Story が原曲にかなり忠実にアレンジが施されていたのに対し、ここでは曲によってかなり大幅に手が加えられています。

 メンバーに目を移すと、Basie-Straight Ahead からほとんどメンバーチェンジはなく、Basie-Straight Ahead で見られたような Eddie 'Lockjaw' Davis (ts) が多くの曲でソロをとるという傾向は変わっていないのですが、それに加えて、オールドベイシー時代に在籍し、その後もことあるごとに客演していた名トランぺッター、Harry 'Sweets' Edison がセクションに名を連ねており、ソロはほぼすべてといってもいいくらいに彼ら2人がとっています。

 アルバム全体としては、どの曲も演奏自体は素晴らしいのですが、お馴染みの曲はアレンジをあまりいじってほしくないなーというのが正直なところ。いつもより一段と速いテンポのバンドをバックにベイシーがいつになくアグレッシブなソロを炸裂させる The Kid From Red Bank などは出色の出来なのですが、肝心のトゥッティのアレンジが変わっていて、どうしても興をそがれてしまいます。そんなこんなでベストナンバーはいつもと同じアレンジで絶妙のテンポの Corner Pocket と Shiny Stockings。僕個人としてはベイシーのアルバムの中でも Afrique や、Basie On The Beatles のような、全く新しい曲や、いつもと趣きの違う曲ををやっているアルバムに対してはあまりマイナスイメージを持っていません。むしろ好意的に捉えていると思うのですが(よく聴くかどうかは別として)、いつもの曲をいつものアレンジで聴けないと、どうしても気になって居心地が悪くなってしまうのです。演奏している彼らも毎日毎日同じアレンジで飽きてしまうとは思うのですが・・・。そんなこんなで悪くないけれども不満の残るアルバムです。ぶつぶつ・・・